【特集記事】40歳から50歳代の転職状況は?~環境や意識の変化が大きく影響

40歳から50歳代の転職状況

「転職するのは35歳までが勝負」という35歳限界説が広く知られていましたが、2023年に入り、この都市伝説的な説はどうやら終焉を迎えているようです。

40代から50代の転職が諸々の事情から増加しており未経験の男性・女性まで転職活動を行うまでになってます。人材の移転が日本でも大きな流れになり始めていますので、その状況を見てみましょう。

目次

40~50歳代の転職が増えている

実際に、35歳以上の転職者は増えているのか?
Yahoo!ニュースに興味深い記事が掲載されています。

40~50代の転職、増加傾向 即戦力、紹介サービス多様に

40~50代を中心とした中高年世代の転職が増加傾向にあり、転職者全体に占める割合も上昇している。人手不足にあえぐ企業側が即戦力になる管理職や技術者を求めていることに加え、コロナ禍で人生を見つめ直す中高年が増えたことも一因だ。定説となっていた「35歳転職限界説」を覆し、両者をマッチングさせる人材紹介サービスも多様化している。

Yahoo!ニュース 2023年2月12日

記事によると、転職者数全体のうち、45歳以上の転職者が占めるパーセンテージが、約31%(2012年)→約40%(2021年)と増加していると公的なデータから分析しています。

また、日経新聞でも高齢者の転職が増えていることを報じています。

45〜64歳の転職希望、5年で3割増 終身雇用優位薄れる

労働市場で終身雇用の優位性が薄れ、転職を探る中年層が増えている。総務省によると45〜64歳の転職等希望者は2023年1〜3月平均が378万人と、5年前の18年同期比で3割以上増えた。同じ会社で長く働く人と転職者との賃金差は縮小し、転職希望者への追い風となる。

NIKKEI

社会構造の変化

日本社会の構造変化

40歳から50歳代の転職が増えている大きな理由の一つが人材不足、特に即戦力になってくれる技術者と管理職・経営者の不足は、売り上げや収益の伸びどころか、企業の存続にまで関わる深刻な問題となっています。

社会・企業側の環境変化

社会全般では、少子高齢化による労働人口の減少により現実として働く人数が減っていること、コロナウィルスの影響により退職者が増加し、特に観光や飲食業などで人不足が顕著になっていること、移民政策の滞りで海外人材の採用が不足を補うまでに至っていないこと、また日本政府の政策として人への投資を積極的に行うことでリスキリング(学び直し)を促進し、人材の流動化の後押しを行っていることなどが挙げられます。

企業側は、退職年齢の引き上げにより長期雇用の必要性が高まり、できるだけスキル・能力の高い中高年の雇用継続と中途採用を行わなければ、他社との競争を戦えなくなっています。さらには産業構造の転換により、既存ビジネスのままでは今後の存続が厳しくなり、新しい分野への進出やIT/DXのための人材へのニーズが高まっています。

以上の要因が重なり合って、人材不足と、ニーズの高い人材の獲得競争が激しくなっています。

求職者側の人生設計

令和3年簡易生命表

引用:厚生労働省 令和3年簡易生命表

求職者側の視点で考えますと、厚生労働省「簡易生命表(令和3年)」では、2021年の日本人男性の平均寿命が81.47歳、女性が87.57歳となっており、役職定年や定年退職の55歳から65歳からみても、17年から30年も生きていく(生きていかねばならない)こととなります。

年金のみで十分に生活できる方はともかく、退職後も仕事を続けなければならない方にとっては、できるだけ自分に合う仕事を続けたい実入りのいい仕事に就きたいと考えるのは当然で、そのためには就職機会が多い少しでも若いうちに転職しておきたい、ということが転職に結び付いていると考えられます。また、40代からでもできる仕事を早めに探す方も増えています。

さらに、退職後から年金受給ができる65歳までの間、数年間働くために早めの転職を実行するのも、上記と同様の動機が元となっています。

ICT技術で転職がしやすいさらにICT技術の進展や企業側の退職年齢の引き上げなどで、在職時にIT系資格の取得や、ITスキルの習得・実務経験を通してスキルアップの機会が増えていることから、45歳以上の方でプログラミングやサーバー・サイト運用、プロジェクト管理、EC等ITスキルを身につけている方も多くなっています。
その結果、公的団体や同業種・他業種への転職確率を高められていることも転職増加の要因です。

解説します
民間企業の募集だけではなく、地方公共団体も少子化への危機感からDXを実現すべく、民間のITビジネス経験者を採用し始めています。20歳代のプログラミングなど現場仕事のみならず、視野を広げて全体を設計管理しなければならないプロジェクトもあり、45歳以上の転職機会が増加しています。

価値観の変化や多様化

コロナウィルスの流行による影響として、人々の内面、つまり心や気持ちの持ちようや価値観の変化も転職の増加に大きな影響を与えているでしょう。

仕事について意味を考えるパンデミックにより、病気にかかり、最悪の場合は死に至るかもしれないという可能性が自分にもあること、そして身近にある死にあらためて気づき、生きている意味や人生の多くの時間を取られている“仕事”についてじっくりと時間をかけて再考すること。

その結果、価値観をがらっと変えて年齢に関係なく新しい仕事に就くこと、都会から地方に移住し仕事を変えることなどが転職増加の一因でもあります。

ポイントです
人は、実行して失敗した後悔よりも、何らかの理由で実行できなかった後悔の方が強く残るといいます。今回のパンデミックは、転職を実行するための最後の一押しをした、大きな変化だったとも言えますね

マッチング技術の進歩やサービスの増加

転職エージェントのマッチング技術仕事を探している求職者と、人材を求めている求人側・企業側をマッチングするサービスは、これまでも公的なサービス・民間のサービス含めて多くありますが、IT(DX・データ分析・メタバース・量子コンピュータなど)や再生可能エネルー・EV・ドローンを始め新しい産業やビジネスが興ることで、よりニッチな産業に特化したマッチングが求められ、それに即したマッチングサービスが立ち上がっています。

また、40歳から50歳代に多い専門知識を持つ人材、経営者などエグゼクティブ層向けの高度人材サービス・マッチングサービスも増加し、競争の激化により転職者を増やしています。
さらに、AI技術の進歩も覚ましく、マッチング確率の向上や、潜在的な転職ニーズの掘り起こし・アプローチを増やすことで、転職人口の増加に寄与しています。

解説します
マッチングサービスを利用することで、仕事を探している求職者は、時間の節約をしながら数多くの企業・ホワイト企業への転職可能性を高められること、そして企業側がコストを負担するため求職者側は費用負担がないことなどのメリットがあり、マッチングサービスへの登録者も増える傾向にあります。

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まとめ

男女ともに平均寿命が延びていること、コロナによる価値観の変化、そして人材をマッチングする技術・サービスの進歩など大きな労働環境の変化が、40歳から50歳の転職を増加させていることが分かりました。

一方で、長い人生を生きていくうえで、仕事は生活の糧を得る手段ではありますが、自分の能力を発揮するステージ他人に喜んでもらえる場所社会との繋がりや絆でもあります。

より良い人生にするためには、「資格なしだから転職は厳しい」「転職はやめた方がいいといわれた」などネガティブな条件はいったんしまって、自分に合う仕事、ものづくりなどやっていて楽しい仕事・長く続けられる仕事と巡り合える転職ができるよう情報を集め、良心的な転職エージェントに登録するなど前向きに行動することが大切になってきています。

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