IT系資格の入門版「ITパスポート」は現在、資格の人気ランキングでも1位を獲得しているほど注目されています。
ITパスポート試験は、ITに関する基本的な知識を問う試験で、合格率は50%前後と比較的高いのですが試験範囲は広く、情報技術全般、経営戦略、システム開発、セキュリティ、法務など多岐にわたりますのでしっかりと準備して臨む必要があります。
このページでは「ITパスポート」について、そして合格するための方法を詳しく解説します。
ITパスポートとは?試験は?
ITパスポート(略してiパス)とは、独立行政法人 情報処理推進機構が主催する、ITを活用するすべての業界の社会人やこれから社会人となる学生が持っておきたいIT系国家資格の一つです。レベルが1~4まであるうち、利用者側の資格としてレベル1相当の入門編に当たる資格でもあります。
技術として知っておきたい話題のAIや、分析に必要なビッグデータ、IoT やアジャイルなど新しい開発手法をはじめ、経営戦略・マーケティング・財務・法務、ITの主要な分野でもあるセキュリティ・ネットワークなど幅広い分野の知識が問われます。
ITパスポート試験に合格し、資格取得すれば、ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用することのできる“IT力”が身についていることの証明にもなります。
ITパスポート資格取得後のメリット
ITパスポート資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。
信頼性の向上: ITやマネジメントに関する知識を持つことが証明され、企業内や取引先からの信頼を得ることができます。
キャリアアップ: 資格を取得することで、どの部門・部署においてもキャリアアップが期待できます。
スキル向上: 実際の運営に必要なITスキルを体系的に学ぶことができ、ITを活用した日常業務運営に繋がります。
就職や転職: 履歴書に記述することで、ITの能力証明にもなります。
どんな方に向いているか?
ITパスポートは、ITを活用して仕事に従事するすべての方に適しています。
- IT業界への就職や転職を考えている方
- 最新のIT情報や動向を知りたい・学びたい方
- 企業内で業務の効率化やキャリアップに活かしたい方
- さらにIT系上位資格を目指したい方
2 年連続 ITパスポート試験が 1 位に
株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズは7月9日、「日本の資格・検定」AWARDS 2024 の結果を発表した。
「総合アクセスランキング部門」では、「ITパスポート試験(iパス)」が2年連続で1位として表彰されている。同アワードではiパスについて、「ITを正しく理解し、効果的に活用できる“IT力”が身につくため、情報技術に携わる業務に就きたい人や、情報技術を活用したい方におすすめの試験」と紹介している。
Yahoo!ニュース
試験範囲・内容は?
大きく分けて3つの分野、データベースなど「テクノロジ」、プロジェクト管理など「マネジメント」、経営管理など「ストラテジ」から出題されます。
テクノロジ系(IT技術):45問程度、マネジメント系(IT管理):20問程度、ストラテジ系(経営全般):35問程度が出題され、総合評価点600点以上であり、さらに各分野別評価点も300点以上であることが必要です。
ITパスポートの試験範囲・内容
◆出題範囲
分野 | 大分類 | 中分類 |
テクノロジ系 | 基礎理論 | 基礎理論 |
アルゴリズムとプログラミング | ||
コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 | |
システム構成要素 | ||
ソフトウェア | ||
ハードウェア | ||
技術要素 | 情報デザイン | |
情報メディア | ||
データベース | ||
ネットワーク | ||
セキュリティ | ||
マネジメント系 | 開発技術 | システム開発技術 |
ソフトウェア開発管理技術 | ||
プロジェクトマネジメント | プロジェクトマネジメント | |
サービスマネジメント | サービスマネジメント | |
システム監査 | ||
ストラテジ系 | 企業と法務 | 企業活動 |
法務 | ||
経営戦略 | 経営戦略マネジメント | |
技術戦略マネジメント | ||
ビジネスインダストリ | ||
システム戦略 | システム戦略 | |
システム企画 |
総合評価点が600点以上でも、1つの分野で300点未満ですと不合格になりますので、まんべんなく勉強を進めましょう。
難易度や勉強時間は?
ITパスポートは、国家資格の中では比較的取得しやすい資格という評価が一般的です。
合格率は、50%程度で推移し、資格を取得しやすい状況です。
また、合格までの勉強時間は、初学者で200時間程度、経験者やITに詳しい方で50~150時間程度と当サイトでは考えています。
おすすめの試験対策・合格の最短距離は?
ITパスポート試験に合格するためには、「独学」もしくは「スクールなど利用する」の2通りがあります。
筆者は、2024年に独学で「ITパスポート」に合格しましたので、できうる限り時間をかけず合格する勉強方法について、実践したポイントをまとめます。
筆者の経歴: 2002年~2015年まで動画系レンタルサーバービジネスを立ち上げ運営していました。(構築・運用から宣伝まで)現在は、IT全般のコンサルティングを行っています。
初級システムアドミニストレータを取得していますが、当資格も古くなっており知識のリニューアルも兼ねて2024年6月に「ITパスポート」を受験しました。
1: 独学の勉強方法
国家資格の重要ポイント: 一般的に過去問から出題されることが多いため、過去問を繰り返し説くことは必須、後は評判が高く実績のあるテキストやWEBサイトを活用することです。
必要なテキスト: ITパスポート試験を学ぶためには、解説のあるテキストはあった方が望ましいでしょう。筆者は下記のテキストのみ購入して3回程度繰り返して読み、問題を解いて試験に臨みました。
必要な問題集: 市販されている問題集を購入するのもありですが、ネット上で定評のある「過去問道場」ITパスポート試験ドットコム、は無料なのでおすすめです。
年度ごとの過去問が網羅されていますので、数多く解答して知識を増やす、問題慣れをしておくにはピッタリです。
2: スクールを利用する
「独学では不安」「サポートなど受けたい」という方は、有料にはなりますが「スクールを利用する」という方法もあります。
「オンスク.JP」は、「ウケホーダイ」では月額 1628円でITパスポートや日商簿記3級・FP2級、3級など様々な資格60講座以上の資格学習コンテンツが利用可能なサービスです。グループ会社でもある資格の学校TACのノウハウが充実の講義ムービー や過去問を徹底分析した問題演習機能があり、独学では不安な方にはコストはさほどかからず利用することができます。
試験の申込順: IT業界未経験の方、知識のない方は、まずは勉強を始めて自信が出始めたときに試験申し込み(支払い)を行って、当日まで勉強を進める方法がおすすめです。
また、ある程度IT業界を知っている方は、先に試験を申し込み(支払い)して、その日までに仕上げるという流れで問題ないでしょう。
試験慣れ: CBT方式は、パソコンで試験が受けられて便利ですが、事前に慣れておくとより試験に集中して対応できます。能力チェックやリスキリングなど、別の資格をCBT方式で受験しておくと、リラックスして受けられるでしょう。
結果: 独学で、市販のテキストと過去問道場を複数回繰り返し、1ヶ月程度の勉強で、1回の試験で合格できました。テキスト・問題集中心のスタイルで、最短の時間で資格を取得できる可能性は高いでしょう。ただし、普段からのIT/マネジメント関連情報のインプット・アウトプットも必要ですので、幅広く情報を得ておくことも並行して進めておきましょう。
所感: ITパスポート試験は、合格率が50%程度と高いので、ついつい甘く見がち、そして勉強をおろそかにしてすぐに受験をしそうになります。
そこで一歩踏みとどまって、テキストや問題集をざっと目を通して下さい。
自分の知識が古くなっていること、新しい技術の登場や法律が様々に改正されていることに気づきます。
試験のためもありますが、自分の知識のアップデートのため、IT資格が初めての方はインプットのためとおもって勉強をして、知識の確認として肩の力を抜いてCBTで受験をしてみてください。しっかりと情報を詰め込んで、そしてリラックスして受ければ、まず受かる試験でもありますので、前向きにトライしてみましょう。
ITパスポート試験受験方法など概要
受験資格: 特に制限はなく、誰でも受験することができます。
受験方法: 全国のCBTテストセンターで実施中です。CBT受験者専用サイトにアクセスし、最初に受験者登録をします。そして、受験したい試験を選択し会場・日時を選び、クレジット・コンビニ支払いなどで支払いを済ませれば受験できます。
料金は7,500円(税込)となっています。(2024/7時点)
試験日程: ネット経由で試験日の3日前から申し込めます。また再受験も何回でも可能です。(別途受験費用は必要)
試験時間: 120分
出題形式: 多肢選択式(四肢択一)
出題数: 100問(小問形式)
合格基準: 1000点満点中、総合評価点が600点以上、かつ各分野別評価点が300点以上
合格率: 50%前後
合格発表: CBT試験終了後、すぐに総合評価点が画面表示されますので合格の見込みを付けることができます。正式な合格発表は受験月の翌月中旬、公式サイトで合格者が発表されます。
合格証書はさらに発表の翌月、登録している住所に発送されます。
試験当日は試験会場にプリントアウトした確認票と、免許証・学生証など顔つきの証明書を忘れず持参してください。会場ではパソコンで試験を受けますので筆記用具は必要ありませんが、電卓も持ち込みや利用もできません。
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まとめ
ITパスポート試験は、ITや経営に関する幅広い知識を問う試験で、合格するためには試験範囲を網羅的に学習する必要があります。
そして試験に合格すると、ITに関する基礎的な知識が身についていることの証明にもなりますので、就職活動やキャリアアップに役立つうえ、他のIT関連資格や上位資格受験のための基礎にもなります。ITパスポートに合格した後、試験内容が重なる部分も多い「情報セキュリティマネジメント試験」に挑戦するのもおすすめです。
ITパスポート試験はIT業界を目指す人のみならず、どんな分野の業界にとっても重要な資格ですのでぜひ、時間を見つけて挑戦してみてください。